DXハイスクール
DXハイスクール
DX High School
DXハイスクール
⾼等学校DX加速化推進事業へのエントリーに当たって


「デジタル人材」について


(内閣府及び⽂部科学省の公表資料による)


本事業がめざす
「デジタル⼈材」の育成
⑴ ⾼校段階におけるデジタル的成⻑分野を⽀える⼈材の育成
⑵ ⽂系の⽣徒やデジタル、理系分野に苦⼿意識を持っている⽣徒によりよい学びの環境を提供することで、
すべての⽣徒がデジタルツールを活⽤できるようにすること
⑶ これからの時代に求められる情報モラルや科学リテラシー持った⼈材を育成すること
(本事業実施要領及び「Q&A」による)


本校の実施計画(案)
⑴ 「翼プロジェクト」における
学びの充実


表現の⼿段が限られている場合、学びのあり⽅も制限されてしまう。現在の「翼プロジェクト」では、最終的に全員がスライドを作成して⼝頭発表を⾏い、そのまとめとして「探究エッセイ」を書くことが学びのゴールとされている。そのため、調べ学習とインタビュー、スライド作成といった画⼀的な探究活動に留まってしまっているのが現状である。
3Dプリンターや⾼精細カラープリンターを導⼊し、製作する⼿⽴て、これまでにない表現の⼿段を持つことにより、⽣徒はそれを意識した探究活動に取り組むことができるようになり、「表現し、世の中に対して働きかける⼒を⼿にすることができるようになると考える。


このように、「⾃分で⽔⾞を製作する」ことができる環境であれば、実験の結果をまとめたり、どの要素が重要かをインタビューで聞いたことをまとめたりして終わりという探究活動から、「⾃分の⼒で解決に取り組んでいく」という、「⼀歩進んだ学び」を実現することが可能となる。
⑵ 教科学習における⽂理融合・教科横断的な学び(STEAM学習)の実現
Science, Technology, Engineering, Mathematics の STEM
分野が複雑に関係する現代社会の諸問題を、各教科・領域固有の知識や考え⽅を統合的に働かせて解決する学習としての共通性を持ちつつ、その⽬的として①科学・技術分野の経済的成⻑や⾰新・創造に特化した⼈材育成を志向するものと、②すべての児童⽣徒に対する市⺠としてのリテラシーの育成を志向するものとがある。(⽂部科学省「STEAM教育等の教科等横断的な学習の推進について」より)
「探究的な学び」
「探究的な学び」は、新学習指導要領が求めている「主体的・対話的で深い学び」を実現する⼿法の⼀つであり、探究活動を中⼼とする⼀連の学習プロセスである。⽣徒はその学びの中で、「 知 識 ・ 技 能
」だけでなく、「思考⼒・判断⼒・表現⼒等」や「主体性を持って多様な⼈々と協働的に学ぶ態度」という「学⼒の3要素」をバランスよく⾝につけ、「新たな社会を創造する⼒」を育んでいく。
「探究活動」
⽇常⽣活や社会に⽬を向けた時に湧き上がってくる疑問や関⼼に基づいて、⾃ら課題を⾒つけ、そこにある具体的な問題について情報を収集し、その情報を整理・分析したり、知識や技能と結びつけたり、考えを出し合ったりしながら問題の解決に取り組み、明らかになった考えや意⾒などをまとめ・表現し、またそこから新たな課題を⾒つけていくという学習活動。
(⻑野県教育委員会「⾼校改⾰ 〜夢に挑戦する学び〜 実施⽅針」より)
探究活動は、いわゆる探究学習(本校の「翼プロジェクト」のような学習)の⼿法であるため、⼀⾜⾶びに「探究的な学び」に⾏き着くものではないことから、意識的に「翼プロジェクト」で得た学びの⼿法を教科学習に持ち込むよう指導していく必要がある。その際、STEAM 教育の考え⽅を取り⼊れる。1年次からの「翼プロジェクト」で取り組んだ学びの⼿法を、科学的な⾒⽅・考え⽅を中⼼に取り⼊れ、教科の枠を超えた学びを実現することで、課題解決能⼒と⾃ら進んで学ぶ⾃学⾃習の⼒を⾼める学びに取り組む。


このような学びに取り組む際にも、3Dプリンターを活⽤することで、さらに学びを深めていくことも可能である。例えば、3次元ののグラフを⽴体で表現してみたり、分⼦モデルを⾃分で製作することで、化学について理解を深める学びに取り組むことも可能となる。


「翼プロジェクト」(1年「産業社会と⼈間」、2年「総合的な探究の時間」)で取り組んだデジタル⼈材育成に関わる学びの要素を、数学、理科、情報・商業の学びの中で実践していく。数学・理科の選択者数を増やすことができるよう、探究学習としての要素を取り込み、理数の⾯⽩さを感じられる学びを実践する。
それら理数の学びを通して、より専⾨的に学びたいと思う⽣徒には、情報・商業の選択科⽬である「情報システムA・B」、「課題研究」により専⾨性の⾼い学習ができるようにすることで、将来的に情報系への進学者数が増えるような学びに取り組む。
⑶ 「デジタルものづくり」の推進
本事業では、要件としてデジタル⼈材の育成に係る機材等の環境整備に当たり、専⽤の教室が⽤意できることが必須とされている。本校では、⼀⼈⼀台端末の実現により使われなくなったパソコン教室が空いており、現在は⾃習室とされているが、他の学習室に⽐べて稼働率は⼤変低い状況にある。パソコン教室であったことから、エアコンの設置はもちろんのこと、デジタル機器を扱うための環境は⼗分に整っており、什器類を新たに購⼊することも最⼩限に抑えることが可能である。
この教室を「Digital Playground」( 仮称
)と名付け、授業や「翼プロジェクト」の学びで活⽤することはもちろん、放課後等の課外活動においても、3Dプリンター等を⽤いたものづくり活動に取り組めるようにすることを想定している。
課外の活動でも⾃由に活動できるようにすることで、⽣徒がイメージしていることや「こんなものがあったらいいな」と思ったことを形に表現することができたり、⾼精細のプリンターを利⽤することで、その設計図⾯を印刷したり、⾃分が作成したデジタルアート作品を制作することもできる。⽣徒の⾃由な発想を形にする環境を整えることで、新しい価値の創造につながる取組を進めることができるようになる。


本校は中学校を併設しているので、中学⽣も⾼校の機材を使った学びを体験できる環境にある。また、中学校には「技術」の授業もあるので、⽊⼯や⾦属加⼯だけでなく、3Dプリンターを使った製作に取り組むこともできる。本事業とは直接関係のないことではあるが、本校としては、6年間の学びを通じて「イメージを形にする」活動に取り組むことは、⽣徒の発想を豊かにするとともに、知的好奇⼼を育てることにもつながると考えている。
製造業について、⻑野市には県内で最も多くの事業所があり、付加価値額も県内1位である「ものづくりのまち」であると⾔える。これから⼈⼝減少の時代を迎え、⻑野市の産業にも変⾰が求められることになると予想されているが、製造業を中⼼とした産業が⻑野市を⽀えていかねばならない状況にある。
⾼校時代にものづくりに触れることで、将来製造業もしくはそれに関わる業種への就職を考える⽣徒も増えることが予想される。本校は⼯業⾼校ではないため、⼿から⽣み出すような技術を養成することはできないし、⽣徒も求めていない。しかし、デジタル技術によりものづくりが⾝近なものとなり、本校の⽣徒にも挑戦できる領域になっている。そのような状況下で本校が志向するのは、ものづくりができる産業界のリーダーとなる⼈材の育成である。
実際のものづくりに関わるかどうかだけでなく、それだけの知識と技術を持った⼈であれば、ものづくりそのものへの理解もあり、それに基づく正しい判断ができる⼈物になれるのではないか。本校はそのような形で⻑野市の産業の発展に寄与する⼈材を育成していきたいと考えている。